朝陽くんの口にした結論には、誰も異議を唱えなかった。

(やっぱりそうだったんだ)

 昨晩の段階での高月くんの仮説は、恐らく正しかった。

「……ってことはさ、職員室の鍵見つければいいの?」

「あー、確かに! 鍵ならぜんぶ職員室に置いてあるもんね」

 そんな単純な話なんだろうか。

 音楽室や各教室の鍵が隠されていたことを思うと、屋上の鍵も校舎内のどこかから探し出さなければならない、という方が自然な気がする。

 だけど、声には出せなかった。
 せっかく希望的な可能性へ向かいかけているのに、空気を壊したくない。

「そういえばさ、おまえらあのあとどうなったの?」

 ふと思いついたように夏樹くんが言う。

「あたしは追われて逃げたけど……結局捕まって鉈で真っ二つ」

 柚は肩をすくめて答えた。

 正確なタイミングは分からないけれど、あの静けさはそういうことだったみたいだ。

「わたしも追い詰められて……殺された」

「俺も同じ」

 朝陽くんが頷く。
 きっと、わたしが死んだ直後に────。

「僕は……」

 高月くんは一旦言葉を切り、視線を落とした。

「チャイムが鳴って、いきなり床が抜けた。それで1階ごと落ちて……気づいたら朝だったんだ」

 予想していた通りだったとはいえ、改めて言葉にされると恐ろしいものだった。
 想像しただけで足がすくむ。

「こっわー……。何それ、どういうこと?」

「そのときだけど、最初のチャイムから1時間経ってた。たぶん、1時間ごとにチャイムが鳴って、1階ずつ崩れてくんだと思う」

 朝陽くんが硬い声で推測を口にした。

 1時間に一度、ワンフロアが崩落する。
 恐らく1階から順番に消え去っていくのだ。

「じゃあ鍵探すにしても1階からってことか」

「基本はそうだが、1階の教室が施錠(せじょう)されていて、その鍵は2階以上に隠されてるってこともある」

「確かに……。それに、崩れたらそのフロアはもう探せないってことだよね。回収できなかった鍵も一緒に落ちてっちゃう」

「うわ、なら急いで探さないとやばいじゃん!」

「効率よく回ってかないとだな。じゃないと、最終的に屋上前まで追い詰められて殺される……」