それぞれ手分けして鍵探しにあたった。
 棚の中、サイドボードの中、デスクの中────どこもファイルや書類が並んでいて、なかなか骨が折れる。

 いつか進路指導室でそうしたみたいに、そういうものに挟んで入れ込むような隠し方はされていない、と決め打って無視することも考えた。

 でも、鍵はそうでもメモはちがうかもしれない。
 重要なヒントであるメモを見落とすことは避けたくて、ことさら丁寧に調べていった。



「……ないな」

 立ち上がった高月くんが呟く。

 結局、校長室からは鍵もメモも出てこなかった。
 床に散乱したファイルや紙の束を見下ろしながら息をつく。

「やばいよ、時間が」

 スマホで時刻を確かめた朝陽くんが焦りを滲ませた。
 0時24分。
 1階はまだ昇降口とここしか調べられていないのに見つかった鍵はゼロ。

 開くかどうかは分からないけれど、厄介だという職員室も残っている。
 このペースでは到底間に合わない。

「やっぱり手分けする……?」

「いや、ここまで来たら少なくとも職員室を確かめてからがいい。開かないならそれで解散して分担、開くなら調べ終えてから別れよう」

「そうだな」

 こくりと頷いた朝陽くんがドアへ寄った。
 わずかに隙間を開け、廊下の様子を窺う。

 少ししてこちらを振り返った彼は「大丈夫」と言った。

「化け物はいない。ふたりの気配もないよ」

 その言葉にひとまずほっとしながら、わたしたちは廊下へ出た。
 隣の応接室は結局開かなかったため、さらに隣の職員室へ移る。

 くぼみに手をかけた朝陽くんが力を込めると、ガラ、と何にも阻まれることなくスライドした。

「マジか……。開いちゃった」

 そう言いたくなる気持ちは分かった。
 けれど、開かなくても結局どこかには鍵が隠されているわけで、閉まっている教室は探さなくていい、という意味合いではない。

「急ごっか」

 素早く中へ入り、ぴしゃりと扉を閉めておく。

 やはりものは多いけれど、無秩序(むちつじょ)に散らかっているわけではなく、誰かが立ち入った形跡はない。

 柚と夏樹くんのふたりは、ここへは来ていないようだ。