自分でも信じられない気持ちで、最後の数字を口にした。
「40……」
彼も動揺を隠せない様子でそう繰り返す。
40。このクラスは全員で39人のはずなのに、そのあと何度数え直しても40人いた。
振られている番号は39までなのに。
ひとりひとり指で追って確かめているのだから、数え間違えてもいないはずなのに。
「ひとり増えてる」
いったい、いつからだろう……?
奇妙な違和感と言いようのない不気味さが、膨張して圧迫してくる。
「紛れ込んでるんだ、やっぱり」
白石芳乃を殺した犯人が。
あの悪夢に閉じ込められているわたしたち5人のうちの誰かが、増えたひとりにちがいない。
◇
そのあと、朝陽くんとふたりで学校を出て帰路についた。
だけど、いまは彼と一緒に帰れることへの嬉しさより、先ほど確信した事実の方に気をとられていた。
お陰で思考の渦に放り込まれ、会話もほとんど生まれない。
(わたしたちの中に犯人がいる……)
そしてその人は既に亡くなっていて、姿かたちを変えて化けている。
白石芳乃が殺されたのは10年前のこと。
犯人が当時の同級生にしても学校関係者にしても、いまのわたしたちと同級生ということはありえないからだ。
(でも、紛れ込んでるなんて本当にありえるの?)
考えるほど、信じられないという思いが強まっていく。
ちら、と朝陽くんを窺った。
少なくとも彼とわたしは小学校の時点で出会っていて、そのときからお互いのことを知っている。
柚と高月くんのふたりもまた中学校時代から一緒で、共通の思い出がある。
過去を共有しているということは、どう考えてもちがう。
紛れ込んだ犯人なんかじゃない。
(だったら、夏樹くんが……?)
消去法ではそうなる。
わたしたちの中では、彼だけがある意味で異質と言えた。
夏樹くんとは、全員が高校で出会った。
このクラスになってから初めて知り合った。
それに何より、彼は確かに柚とわたしをを躊躇なく殺害してしまった。夢の中とはいえ。



