キスしてよ、罠でもいいから



陽向くんが大嫌いである朔夜くんの名前を出したら嫌な空気になってしまうと思い、とっさに嘘をついた。



「そっか。それじゃあ仕方ないね、気にしないで」


ぱああ、と光り輝くような笑顔をこちらに向けてくれる陽向くん。

うう、嘘ついてごめんなさい……。

でも朔夜くんに会ってビックリして落としてきましたなんて口が裂けても言えないよ。



「……前から思ってたけど、会長って小郷先輩には甘いよね。俺らには冷たい笑顔向けてくるのに」


「あ、それ私も思った」


「柴田たちね、1回黙ろうか」


うしろではなつきちゃんと柴田くんがごにょごにょなにかを話してたけど、うまく聞き取れなかった私は陽向くんへの申し訳なさでいっぱいいっぱい。

どこに落としてきちゃったんだろう……、コンビニに行くまでは持っていたはずだし。

となるとやっぱり落としてきたのかな。