キスしてよ、罠でもいいから



わたしと陽向くんが同時に振り向く。


「っ、朔夜、」


そこにいたのは朔夜くん。
あまりの突然さに驚きを隠せない。


「ちょっと副かいちょーさん、こっち来て」


呼び込まれるまま、朔夜くんについていく。


手を引かれながら着いたのは、1階の空き教室だった。


「ねえ、どうしたの、」



「はは、いーんですかね。副会長さんがあんなとこでハグなんかして」


「っ、朔夜くん、それは違くて……!」


「いーよ、別に。はいこれ、」


がさ、とうしろから何かを取りだした朔夜くん。
そこにあったのは━━━━━━、



「……え、」


少し前に取られた企画書、だった。
うまく息ができなくなって。


どうして、なんでこのタイミングで。
嬉しい気持ちより朔夜くんとの繋がりがなくなってしまう怖さの方が大きかった。


「付き合わせてごめんね。みほ、」


「朔夜く、」


「俺はそれに、乗ってあげるから」