キスしてよ、罠でもいいから



純黒の瞳に髪。
生まれながらに色素の薄い父親とは遠く離れた容姿。

その一方、陽向はどことなく母親と父親に似ていた。


それだけで。
俺は''陽向の引き立て役''になることを命じられた。


要するに俺が悪いことをして、それを陽向が止めて''高梨陽向''の評価を上げる。


実家での嫌がらせを極限まで小さくするために、いいのか悪いのか器用だった俺にとって、良いのか悪いのか分からない犯罪すれすれのことをすることは、そこまで難しくなかった。


やがて、父親は後妻との息子ひかりを生んだ。

「おにーさん、ぼくのにーちゃんとちょっと似てるね!」

「そりゃ双子だからな」

「そーなの!?じゃあおにーさんぼくのおにいちゃん?」


「あー、まあそーなんじゃない?」


俺と接点なしで幸せな家族を作ろうとしたんだろうけど、ひょんなことでひかりが俺に懐いてしまった。


その結果、有り余る大金を俺に持たせて一人暮らしをするように言われた。