「みほちゃん、なんか面白い話してよ」
「ええー、面白い……、面白くない話ならたくさんあるけど、」
わたしの身の上話、とか。
いやある意味面白いかもだけど……!
「んーじゃそれでいいよ。なんかおもしろそーだし」
にこ、と笑ってくれた朔夜くん。
その柔らかい笑顔に今はとても安心する。
「えっと、わたし今日、家賃払わないといけなかったんだけど、お母さんにお金とられて帰る家なくて、……あはは、笑えるよね、」
自分で言ってて惨めすぎてまたぽろぽろ涙が出てきてしまった。
目に伸ばした手を朔夜くんは優しく掴んでぎゅっと抱き締めてくれる。
温もりがあたたかくて落ち着いて、広い背中に手を伸ばした。
「じゃあみほちゃん、いま帰る家ないんだ」
「……うん、」
「じゃあさ、ここ住む?」
「え?」
一瞬なにを言われてるのか分からなかった。
す、住むって……、同居ってことだよね。
改めて理解しようとしても意味が分からない。
「住むってだれが……」
「みほちゃんと、おれ」
聞き間違えではなかったことに開いた口が塞がらない。



