滲む視界の中でさすがにこれはヤバイと脳が警報を鳴らした。
襲、われるかも……。
案の定、上から組み敷くように覆いかぶさってきた朔夜くんが体中にキスを落としてくる。
おでこ、頬、首筋。
顔周りが熱を持ってじん、と甘く痺れる。
どこにやっていいか分からず伸ばした腕は朔夜くんにからめとられてしまい、キスに集中することしかできなくなってしまった。
「さく、やくん」
「んー?」
「その、くち、」
だから、わざとかと言うほど唇を落とされない私の口が嫌に熱を持ってしまって。
恥ずかしいことだと分かっていながら、弱っている心のせいにして言ってしまった。
「口?どーしてほしーの」
「っ〜、なんもない!」
分かってるくせに、口角を上げて目を三日月形に細めてそんなことを聞いてくるからほんとに意地悪。
もう振り回されたくなくてごろんと横になって身を屈めた。



