「朔夜くん……」
「んー?どしたの?」
びっくりしてしまったのは、朔夜くんの顔に傷がついていたから。
頬をひっかかれたようで、血を乱暴に拭いたあとがある。
「どうしたのじゃなくて朔夜くんこそ大丈夫なの!?」
「あ〜、これ?もう血とまってるし」
いやいや、わりと広範囲だしまだ血が出てるし、
どうしたらいいか分からず手を伸ばしかけた私を見てにやりと笑った朔夜くん。
「そんなに心配そーな顔するならみほちゃんに手当してもらおっかな」
「え、」
「……ちょっと待てよ、朔夜。こいつは生徒会のやつだぞ!?」
それまで横でやりとりを見ていた天羽くんが驚いたように言った。
いや、うんそうだよね。ごもっともだよ。
どうして、朔夜くんは━━━━、
「ばーか、敵のお姫様をほだしてんだよ」
ズキン
心臓が音をたてて傷んだ。
なん、でだろう。
何に傷ついたのかにも分からない。
敵対してる族のわたしを利用しようとしてる。ただそれだけなのに。



