キスしてよ、罠でもいいから



だけどこの人がいるせいで入れないし、そもそもなんで来ちゃったんだろうとも思う。

でも、朔夜くんのあの瞳を思い出すと自然と足が動いてしまった。

その結果、こうなっているわけだけれども。


「聞いてる?なにしにきたの?Deftの探りにでも来た?」


「え、あぅ、違くて……、朔夜くんを、その、」


うまく説明ができなくて口ごもる私を見て天羽くんは眉をひそめた。

そのまま入口と反対の方を指さして言う。


「ほら、今だったら見逃したげるから。早くどっか行きな。うちの総長に目つけられたらなにされるか分かんないよ」


違うんです、もう目つけられてるんです、という言葉はグッと飲み込んだ。

この人、いい人なのかもしれない。


「えっと、わたしは本当に朔夜くんを、」


「わお、ほんとに来てる」


軽い声にびっくりした。

私と天羽くん、2人同時に声のする方へ振り向く。