キスしてよ、罠でもいいから



「けっこー死んだ顔してたから、ね」


え……。
朔夜くん、もしかして私を元気づけるためにあんなこと言ってきたのかな。

いやいや、どっちにしろ最低だけど!


ブンブンと頭を振って思考をリセットする。
真っ白な布団のシーツをギュッと握りしめて自分に喝を入れた。


「お弁当ありがとう!助かった!じゃあね!」

早口で言い切って保健室を出ようとしたのに。

ぱしっと腕を掴まれる。


「……なに」


にっこり笑った朔夜くん。


「ぶっ壊れそうになったら、俺んとこ来なね。場所はわかるでしょ」


「……余計なお世話です。たぶん」


最後にせめてもの悪態をついて保健室を出た。



.☆.。.:*・°




「……っ、なんで?」


なんとか学校を乗り切って家に帰ってきたわたし。
机の上のものを見て一瞬息が詰まった。


『みほへ。お金借りてくね』


何度も何度も手紙を読み返すけど、文字が変わることは当たり前にない。