キスしてよ、罠でもいいから



こんなのが耳に刺さってると痛そう、だけど朔夜くんは慣れたらしい。

黒くて地味なのに、驚くほど朔夜くんにあってて。


「ちょ、みほちゃん当たってるから」


「え?」


「ほら、胸。けっこー健全な男子高校生にはクるんですけど」


「っ、変態!」


光の速さで朔夜くんとの距離をとる。
ピアスに夢中になって胸を当ててしまっていたらしい。


ゆ、油断した油断した!
顔が真っ赤になっていくのが分かって慌てて手で抑える。


「覚えてる?みほちゃん俺と会ったとき''橋本美波です!''とか言ってたよね。あの人と胸の大きさだいぶ違うような……」


「うるさい!ばかっ!」


最低!最低だよこの男!


お弁当くれて優しい人だと思ったのに……!
胸小さいこと意外と気にしてるのに……!


ぽかぽかと大してダメージにもならない力で朔夜くんを殴る。


「よかった、元気戻ってきたじゃん」


「え……」