「はい、どーぞ。すごい音出しちゃうくらいお腹空いてるみほちゃんにあげます」
「うう〜、ありがとうございます」
3日ぶりくらいの食事……!
朔夜くんのものだけど本能には抗えなかった。
ぱく、とハンバーグを食べると口中においしさがぶわっと広がる。
「おいし?」
下から覗き込んでくる朔夜くんはすごくにこにこしていて、不覚にもどき、としてしまって。
それをかき消すように首を激しく縦に振った。
しばらく食べ進めたころ、あることに気づく。
「こ、これ朔夜くんのお弁当だったんだよね?朔夜くんの食べちゃったよ……」
「あー、いいよ。登校中に幹部からもらっただけだから。そいつ料理上手でさ。みほが食った方がそいつも嬉しいだろーし」
「え……、幹部の人がくれたなら朔夜くんが食べた方が嬉しいんじゃ、」
「んー、おれ味とか感じないからおいしいとかないんだよね。だからみほちゃんの感想教えて欲しい」
そう、なんだ。味を感じない人がいるなんて初めて聞いた。こんなにおいしいのになぁ。



