「だからバイト代払わないといけなくて」
「うん」
「でもほんとは、払いたくない……っ」
そこまで言うと涙がボロボロ出てきてしまった。
頭にはぽんぽんと暖かい温もり。
「うん、だからそんなにみほチャンは痩せてんだね。ほんとに折れちゃいそう」
そんなことを言いながら抱きしめてくるものだから折る気じゃないかなんて怖かった、けど。
あまりにも優しく抱きしめてくるものだからまた大量に涙が出て。
ぎゅるるるるる
……それと同時に明らかにムードを壊して私のお腹も鳴った。
「はは。みほちゃんおなか空いてんの?」
「……空いてるけど、」
「はい、じゃじゃーん」
パッと私から体を離した朔夜くんがかばんからなにかを取り出した。
その手の中には、
「えっ、」
ものすごくおいしそうなお弁当があった。
た、食べたい。すごく食べたい。



