自分でもなにを言っているのかよく分からなかった。
ただ、頭が痛くておなかはやっぱりすいてて。

要するに、正常じゃなかったんだと思う。


「なにが、」


「さくやくんとの間に壁を作っとかないと、のみこまれちゃいそうで、」



ぽろり、と零したことば。

ふーん、とどうでもいいような相槌をうったあと。



「じゃあいいよ。のみこんであげるから」


え、と言葉をだすより先に。

朔夜くんのくちびるが私の唇に触れた。



「ねえほら、吐き出してみなよ。全部俺がのみこんであげる。今日のみほちゃんすげー泣きそうだよ?」


「……っ」


ばれてしまった。
朝から我慢してたけど、とてつもなく悲しかった。


バイト代を全部家賃に出してしまうのも。
全然帰ってこないお母さんにも。


黒いなにかに縛られて離れられないような、そんな感覚で。


「えっ、と私、家追い出されるかもしれなくて」


「うん」