隣から聞こえてきた声に思わず『は?』なんて言ってしまった。
いやいや、きっと体調が悪くて幻覚でも見てるんだよわたし。うん、寝よう。


「えー、無視すんの?傷つくなー。俺とみほちゃんの仲なのに」


「……たいした仲じゃないじゃないですか」


ぼそ、と諦めてツッコミを入れる。
案の定隣を見ると、やっぱり朔夜くんがいた。


隣のベッドで気だるそうに寝転がってスマホを見てる。どうせサボりだろう。

正直わたしのファーストキスを奪った人の顔も見たくないけど、保健室から動くのも無理そう。


そもそもどうしてこの人保健室いるの!?至って健康でしょ!?


「あー、気にいんない、」


かた、とスマホが置かれる音。

その真っ黒な瞳に射抜かれた。


「ね、敬語やめてよ」

「……いやです、」


「なんで?陽向にはタメなのに」


「それは、こわいから」