キスしてよ、罠でもいいから



「とりあえず帰ろっか。もうみんな出てったし」


「あ、うん」


慌ててカバンに荷物を詰めて学校をあとにする。


門までの道のりを歩きながら、お腹の底から朔夜くんへの怒りがこみあげてくるのが分かった。



いや、奪われたわたしも悪いかもだよ!?

それにしても人のものを奪うってやっちゃいけないことだよね!?


あの憎い顔を思いだして1人で腹をたてる。

でもどんなにムカついても思い出す朔夜くんの顔はすごく整ってることもなんか嫌だ。



「……みほちゃん、最近大丈夫?」


「え……っ、」



朔夜くんに似た声が上から降ってきて驚く。

朔夜くんよりワントーン明るいからすぐに違うって分かった、もちろんこれは陽向君の声。



「最近、元気ないよねみほ。なにかあったら相談してほしいな」


「……あ、えっと、」



ない、わけがない。


陽向くんが頑張って作っていた書類を朔夜くんにとられてしまったこと。


それを理由に脅されていること。