キスしてよ、罠でもいいから




罪悪感を感じつつ、ホワイトボードに書かれていく進行を見つめていると、


『生徒のみなさんに連絡します。今日、火災報知器の点検をするので活動中の生徒は速やかに下校しめください。繰り返します……』


先生の声で放送がかかった。



「じゃあ今日はここで終わりにしようか」


きゅ、とホワイトボードに書くペンのキャップを閉めた陽向くん。
みんなもカバンやらを準備し始めて帰る雰囲気になる。


朔夜くんにとられるなんて過失をしてしまったから居心地が悪い……。



ズキズキ痛む胸をと押えながら荷物をまとめていると、申し訳なさが溜まってきて目に涙が滲んだ。

一刻も早く朔夜くんから取り返さないと……。



「みほ?大丈夫?」


「……うん、大丈夫だよ」


隣から声をかけてくれた陽向くんに笑って返す。
心配そうに目を細めた陽向くん。