『わたしはこの子……、ひかりくんが迷子になっていたからお兄ちゃんを一緒に探していて、』
『そうなんだ。ごめん、声を荒らげたりして。俺がこの子のおにいちゃんです』
『全然だいじょうぶです。見つかってよかったですね』
すや、と心地よさそうに眠るひかりくんの目尻から垂れる涙のあとが痛々しかった。
じゃあ、と頭を下げて門に向かおうとしたとき手を引っ張られた。
『助けてくれてありがとね。で、何円ほしい?』
『……はい?』
『だから、何円ほしい?』
『あの、お金とかいらないです。普通に助けただけだし、』
そういうと大きく目を見開いた彼。
そこで初めて顔をしっかり見た。
う、わ、すっごく綺麗な人。
地元の中学じゃこんなに綺麗な人は見たことがなかった。
2人して見つめあっていると向こうが先に口を開く。
『俺のこと、知らないの?』
『はい全く』



