わああ、とまた泣き出してしまったから、今度は落ち着かせるために抱っこをする。

お兄ちゃんが出てきすぎてよく分からないけどひかりくんにはお兄ちゃんが2人いるのかな。


それできっと、1人のお兄ちゃんがもう1人のお兄ちゃんの悪口を言ってケンカをしてしまいはぐれた、と。


うーん、複雑だなぁ。こんな小さい子が悩んでしまうほどなんて。



トントン、と背中を軽く叩いて落ち着かせてやるとひかりくんの泣き声は小さくなっていき、


『あ、寝ちゃった』


私の腕の中で寝てしまった。


ずっとこのままでいるわけにもいかなかったので校内を適当に歩く。


『さくや、にーちゃん……、ひなたにーちゃん、』


『っ、ひかり!』


ひかりくんが何かをつぶやいたとき、廊下の先に人影が見えた。


とても速いスピードで近づいてきて、わたしからひかりくんを奪い取ったその人。


『あんたは……?』