でも私はあくまで生徒副会長。
フツーに考えて人を殴るという行為をした高校の生徒には注意をした方がいい、のだろうけど。
「ね、俺ワルい生徒だよ?注意しなくていいの?」
注意しなくていいの?なんて。
したくてもできないし、されてもなんともないのがわかって言ってる。
こっちにゆっくり。だけど確実に近づいてくるその人。
名前は、
「高梨、くん。えっと……、」
そのあとの言葉がでてこなかった。
軽薄、だけど重い笑顔にひゅ、と息を飲む。
と思えばこんなことを言ってきた。
「なんだっけ、おまえの名前」
深くかぶったパーカーのフードをとった彼、高梨くん。下の名前は確か''朔夜''くん。
こっちは知っているけど向こうは名前まで知らないみたい。
フードが取れた高梨くんの顔を見るのが怖くて顔が上げられなかったものの、
心の中にゆるい安堵が広まったのも束の間、