考えれば考えるほど、目の前の男の笑いが怖くなってきたので一旦考えることはやめておいた。
ピ、とカードキーをかざすと自動で空く真っ黒なドア。
「ほら、おいで」
手は繋がれてるから逃げられないはずなのに、こちらを気遣うようにそっと床を歩かせてくれる姿に思わずどき、とする。
1歩足を踏み入れて、エレベーターに乗ったらもう別世界のような感覚に少しだけわくわくしてしまう。
「は、めっちゃ目輝いてんじゃん」
「う、つい……」
周りをキョロキョロしていると朔夜くんと目が合って笑われた。その笑顔の破壊力と言ったら半端がない。
顔がよすぎる……。
エレベーターの鏡に映る横顔は極上の顔。
上品な顔立ちなのにしっかりと雄を感じるような顔だし。
首筋、なんか触ったら溶けそうなほどにくっきりと線が入ってるし。
雰囲気に圧倒されて気にせずにいたけど、目の前の人が男なんだと感じさせられて顔がかあっと熱くなっていく。



