私以外、誰もいないはずの教室。

今日も真面目な私はここにで1人読書をするはずだった。



「……キミ、真面目ちゃんだよね」

「え?」

「あ、その本知ってるよ……面白いよね」


私が手に持っているのは最近流行りの恋愛小説だった。


「し、知ってるの!?」

「うん」


この本はずっと前から好きな作者さんの新刊だった。

確かに流行ってはいるけど、すごい人気なわけではないと思っていたから……なんだか嬉しかった。


それも、国宝級イケメンと言われている如月くんが知っているだなんて。


「嬉しそうだね」

「う、うん……あんまり本のことで話せるお友達、いないから……」

「そっか。じゃあこれからは僕がその友達になってもいーい?」

「へ?」


私の一つ前の席に座って、じっとこちらを見つめてくる。

なんだか、ドキドキしてしまった。


だって私……男の子と付き合ったことなんてないし。


「真面目ちゃんって……ウブだよね」

「そ、そうかな」

「うん、可愛いよ、表情ひとつひとつ」

「え……!?」


かわ、いい……!?


い、一体如月くんは私を誰だと勘違いしているの……?

胸のドキドキが鳴り止まない。