次の日。


クソみたいな歩夢くんのことなんてもう綺麗さっぱり頭から離れて、せいせいしていた。


そんな朝。



「……おはよ、真面目ちゃん」

「き、如月くん……!」


ひょこっと横から覗き込んできた如月くんに驚きつつも、会えてラッキーだと思ってしまった。

昨日のお礼も、ちゃんとできていなかった。


「あのね、如月くん」

「ん?」


カバンの中から小さな紙袋を取り出す。


「昨日のお礼したくて。うちの家、ケーキ屋さんで……クッキーも売ってるんだ。これ、アイシングクッキーなんだけどもしよければ食べて?」

「真面目ちゃんが作ったの?」

「ううん、これはお父さんが作ったやつだよ」

「……そっか、ありがとう。お腹が空いた時に食べるね」

「うん!」


少し目を細めて、にっと笑ってくれた如月くんに少し胸がきゅんとしてしまった。


「せっかくだし、一緒に登校しない?」

「私なんかでいいの?」

「真面目ちゃんだからいいんだよ」

「……じゃあ、喜んで」


私だからいいって……本当、変わり者だな。

もっと、可愛い女の子とイチャイチャしてるイメージなのに。