もちろん、和歌ちゃんと一緒にいると楽しいし、その間は柊斗のことも考えなくてよくて…。

正直、私がその後の中学時代を楽しく過ごせたのは、彼女のおかげと言っても過言ではない。

「和歌ちゃんには、本当に感謝だな〜…」

たぶん、和歌ちゃんだって最初は知らなくても、途中で柊斗のウワサはどこかで耳にしたはずだ。

2年生の時のクラスメイトは、元1組の子が多かったし、それでなくても柊斗は目立つ男子だったし。

でも、私からアイツのことを話すまで、彼女はわざと触れないでいてくれたみたい。

それを私が知ったのは中学2年生の終わり。

ようやく和歌ちゃんに1年の時に仲が良かった柊斗のことを話した時だ。

『そっか…。蘭やっと、話してくれたね』

と、笑顔で話を聞いてくれた彼女に内心目を驚いたのを覚えている。

本当に和歌ちゃんには足を向けて寝れないよなぁ…。

色々1人で考えているうちに少しずつ睡魔が襲ってきて、私はふわぁーと、あくびを1つこぼした。

ちょっと眠くなってきたかも…。

明日はちゃんと早起きして、和歌ちゃんと入学式行かなきゃなぁ。遅刻したら、怒られちゃう…。

徐々にまぶたが重くなってきて、ソっと目をつぶる。

楽しい高校生活を思い描きながら、私はいつの間にか夢の世界へと誘われていた。