「それは失礼致しました。でも、イザベラ様はもっとふっくらしても良いと思いますよ」
エドワード王子が肩をすくめながら、私に微笑みかける。

「それにしても、イザベラ様はご婚約したルブリス王子殿下とはお出かけにならないのですか?」
レイラ王女が当たり前に持つだろう疑問を私に投げかけてきた。

「あの、私が不躾で気の利いた会話もできず、退屈させてしまうので出掛けられません」
退屈でつまらない女と言い放ったルブリス王子殿下を思い出し暗い気持ちになる。

「僕はイザベラ様はとても成熟した方だと思います。相手に場をつくらせることを、いつも求める兄上が幼いのです」
エドワード王子は私に微笑みかけた後、レイラ王女に同意を求めるように語りかける。

「もしかして、私18歳くらいに見えますか?」
私は自分が前世で18歳で死んだことを思い出した。

「18歳には見えませんよ。可愛らしい10歳のお嬢様に見えます。でも、イザベラ様は、とても落ち着いていて素敵な方ですね。ちなみに、私は何歳に見えますか?」
サイラス王太子殿下が笑いを堪えながら私に問いかけてくる。

「隣国であるルイ国に対して不勉強で申し訳ございません。間違っていたら国外追放にしてください。20歳くらいでしょうか?」
小説を散々読み込んでいたが、隣国であるルイ国については特に記載がなかった。
でもスラリと背が高く大人っぽいサイラス王太子は、大学2年生よりは上に見えた。

「15歳です。そんなに老けて見えますか?アカデミーを卒業したばかりですよ。イザベラ様は間違ったので、ライ国を国外追放になりルイ国に連れてかれることになります」

アカデミーはライ国でもルイ国でも12歳から15歳が通う場所だ。
中学生が通う年齢のアカデミーに行くのが怖くて仕方がない。

私は前世では中学の卒業式にも出席できなかった。
今世ではアカデミーの卒業パーティーで断罪される予定だ。

「罪人の国外追放先はルイ国なのでしょうか? 厨房の仕事でしたらできますので、働かせて頂けるとありがたいです。少しでも、お世話になる国に奉公できればと思います」

15歳で国外追放になるイザベラは一体どの国に行ったのだろうか。
小説はルブリス王子殿下とフローラ・レフト男爵令嬢のラブストーリーが中心で、イザベラの国外追放先の記述もなかった。

「エドワード王子、この可愛いイザベラお嬢様をルイ国に連れて行ってはダメでしょうか?どうして、彼女がルブリス王子殿下の婚約者なんでしょう」

光の住人、サイラス王太子殿下から可愛いなどと言われてしまった。
今日はドキドキして眠れそうもない。