Anonymous〜この世界に生まれた君へ〜

「今更悔やんでも、もう引き返せないだろう」

「それもそうね」

女はカクテルを一口飲む。そして息を吐いた後に続けた。

「まあ、どうしても降りるっていうならそれでいいの。でも最後に一人殺してちょうだいね」

「まだ恨んでいる奴がいたのか?」

女はスマホを取り出し、写真フォルダを見せる。そこには彼女が殺害してほしい人物が映し出されていた。その人物に男は驚く。

「おい、ちょっと待て。この人はお前のーーー」

「その子の中身が問題なのよ。あれは人の皮を被った怪物なの」

女の目がさらに鋭くなっていく。それは紛れもない写真の人物に向けられた殺意だった。









「アノニマス〜この世界にいない君へ〜」に続く。