◇Clown Act◇⇧




「祥!」



お兄ちゃんが一目散に駆けてきた。


起き上がるまもなく強く抱きしめられる。


大好きな匂いに包まれて目の奥が熱くなる。


なんともいえない再会になってしまったが、一時は永遠の別れを覚悟した相手だ。


いつもどおり私のことで怒ってて、いつもどおり抱きしめてくれて。


当たり前だったことがこんなに大切なものだなんて知らなかった。



「お兄ちゃん…生きてる」

「うん、生きてるよ」

「ほんとに?幻じゃない?」

「ほんとだよ。心配かけてごめんね」



鼻先同士をつんと合わせられ、くちびるの端にキスを落とされる。


愛おしさすらおぼえるスキンシップ。



「ばか。お兄ちゃんのばか。
お兄ちゃんなんて嫌いだ」


「そんなこと言わないでよ。
祥に嫌われたらお兄ちゃん死んじゃう…」


「ごめん、うそ、大好き。でも次あんな危ないことしたらもう口きかないから」


「…うん。ごめんね。祥」



「許す。生きていてくれてありがとう」



大好きなお兄ちゃんの体をぎゅっと抱きしめ返した。


生きてる。あったかい。


優しい心音を聞きながら、腕の中の命を惜しみなく感じた。



「よかったじゃん兄妹感動の再会!泣けるねぇ。ほらイカレ王子くん、命があればそれでいいじゃねえの?そんなプンプンすんなって。これは命を賭したゲームなんだからよ」



安らかな空間に、神経を逆撫でるような声が割り込んできた。


言うまでもなくイースだ。