あやかし王は溺愛する花嫁に離縁を言い渡される

免疫力がなさすぎるのに、雨あられのように降ってくる甘い言葉に、琴禰は気を失いそうだった。

「どうして私にそんなに親切にしてくれるのですか?」

 扶久に『直接聞け』と言われたことを聞いてみる。

 どうして人間の、それも両親からも愛されないような忌むべき自分に優しい言葉をかけてくれるのか不思議だった。

「それは、琴禰だからだ」

 煉魁は、至極当然といった面持ちで答えた。

「どういう意味ですか?」

「意味も何も、俺が琴禰を見つけ保護した。だから、琴禰は俺のものだ」

(益々わからない)

 一切の迷いもなく、自信満々に答えてくるので、琴禰は自分の問い方が間違っていたのだろうかと思った。

 何とか問いと答えを結び付けようと頭を捻る。

「つまり、煉魁様の所有物であるから大切に扱ってくれると?」

「う~ん、それとは違うな。所有物であっても雑に扱うこともある」

(違うのか)

 迷宮入りしそうになった時、煉魁が琴禰でもわかる答えをくれた。

「俺は、琴禰に一目惚れしたのだと思う」

「へ?」