皆が青ざめ、言葉を失っている。

琴禰の両親は頭を下げ、小さく震えている。我が子を殺さないといけないことよりも、家族から一族を滅亡させる異能の娘を生み出してしまったことに対する自責の念に駆られているようだった。

(待って、私は殺されるの⁉)

 想像もしていなかった展開に、心の臓がきゅっと縮み、恐怖で震え上がった。

 大巫女様の言葉は絶対だ。否定などありえない。しんと静まり返る中、すっと手を挙げた人物がいた。

『なんじゃ澄八。言いたいことがあるのなら言ってみよ』

 大巫女様から発言を許可された澄八は、立ち上がって一礼をし、そして厳粛に口を開いた。

『大巫女様のおっしゃる通り、琴禰の力は異質で強大です。結界を張るのを僕も手伝いましたが、正直言って、彼女が本気を出せばすぐに逃げ出すことも可能でしょう。そもそもここにいる祓魔師が束になっても勝てるかどうか』

『なにを言っている。小娘一人、我々が負けるわけはないだろう』

 澄八の隣に座っていた屈強な男性が口を挟んだ。