ーー最悪。いろんな意味で、最悪。

私だってみんなみたいに、ちょっと『遊んで』みたかった。

もう大学二年生だし、二十歳だし。


だから初めて合コンに行って、初めてお酒を飲んで。

ーーで、惨敗。

人見知り大爆発だし、無言の間が気まずくて、それをごまかすために飲みすぎた。


逃げるように店を出たのはいいけど、頭がうまく回らないし足がもつれて歩くのもやっとだ。

お酒って、飲みすぎたらダメなんだなぁ……。

知識としてわかってはいたけど、体験するとより実感する。

いや、そんな場合じゃないんだけど。

私これ、ちゃんと家に帰れるのかな?


「ーーいたっ」


もうろうとした頭でそんなことを考えていると、誰かにぶつかってしまった。


「あ、すみません……」


見上げると、そこには柄の悪い三人組の男たち。


「危ねぇなぁ……」

「ダメだよ、前見なくちゃ」

「俺たちにお詫びでもしてくれる?」


顔が青ざめるのが自分でもわかる。

無理無理無理、無理。そういうの。

でもこんなふらふらの足で逃げられるわけもなく、あっという間に両隣からホールドされる。


「お姉さん、結構飲んでるでしょ」

「一緒に二軒目行こっか?」

「や、ほんとにそういうのは……」


やばい、助けて、誰か。

そんなこと頭の中で願っても、何の意味もない。

夜の街の通行人なんて、私の方を見もしない。


あー、終わった。

そう思ったとき、私の正面に誰かが立ち止まった。


「どーも、久しぶり」