「嘘なんかじゃない」

今日は臣といたくない。

「そんなこと言わないで、今年も二人でお祝いしようよ」

臣は困ったように笑う。


「二人の誕生日」


あと少しで、今度は臣の15歳の誕生日。

4月2日に彼は生まれた。

年上年下なんて言ってるけど、わたしたちの歳の差は一日。
ううん、それどころか数時間。

毎年こうして、日付が変わるときに二人でお祝いしてる。

「わたしの誕生日なんて、おめでたくない」

今日が大嫌いだから、かわいくないことしか言えない。
今年はとくに。

「いいからいいから、ほら、ポテチとジュース」

臣が小さなテーブルにお菓子を広げる。

「……」

わたしも隠してあったクッキーを出す。

「やっぱり準備してるじゃん」
「……だって臣の誕生日だもん」

プイって目をそらしてかわいげなく言うわたしを、臣は笑う。

こういうときの、ちょっと困ったやさしい顔が好き。


好きだよ、臣。