23時50分。

「臣の好きな子って、あの子でしょ?」

だってあの子は臣と同い年。

「あれは、告られて断ったんだよ」
臣がため息をつく。

「だけど、やだって泣かれて、抱きつかれて。侑莉に見られてたなんて思わなかった」

「でも……」

「俺が好きなのは、侑莉だから」
臣はわたしの目を見て言う。

「嘘だよ。だって臣は……年上は好きじゃないんでしょ?」

だから嫌い。

わたしの誕生日。


一年で今日だけ、学年だけじゃなくて年齢も臣より上になるから。


「誰がそんなこと言ったんだよ」

「……臣と同じ学年の子たちが言ってるの、何回か聞いたよ」

泣いたまま、目をそらす。

「は?」

臣は考えるみたいに、少し無言になった。

「それ、俺が言ったのと変わってる」

「え……?」