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『千花に近づくな』
朝、げた箱を覗くとそんな文字が印刷されたコピー用紙が入っていた。
オレは上履きに伸ばした手を一瞬止めて、げた箱の名前を確認する。
佐藤謙信。確かにオレのげた箱だ。この手紙は間違いなくオレ宛てのものだった。
(なんだこれ。ちかにちかづくなって。ダジャレかよ)
バカバカしい。オレの想い人には隠れファンが多いが、こうやって分かりやすく牽制されるのは初めてだった。
いずれにせよこんな行動をするヤツにちかちゃんは渡せない。オレはコピー用紙を手にどう対処すべきか考える。
恋のライバルというだけならまだいい。
相手は最近ちかちゃんに猛アピールしているオレが気に食わないのだろう。
正直、なりふり構わずなのは自覚している。
オレのふるまいが原因で、ちかちゃんにまで害が及ばないようにしなければ。


