佐藤くんが重たい口を開こうとすると、うつむいたままのひなたの肩がピクリと小さく跳ねた。
「片方じゃダメ。両方の話を聞きたい」
「分かった。……とりあえず、屋根のあるところへ行こう」
佐藤くんはそう言って体育館に目線をやる。鍵は開いていないが軒下で雨はしのげるだろう。
佐藤くんがわたしの手を、わたしがひなたの手を引いてノロノロ移動する。
その道中、ひなたはずっと喉の奥で笑うようなうめくような、とにかく聞いたことのない声を出していた。
「もういい。わたしの負け」
ポツリと落とされたひなたの言葉に、佐藤くんが苦い表情をする。
「それを決めるのはちかちゃんだ」
佐藤くんの手に力が入る。二度目に繋いだ手は少し震えていた。


