「千花ちゃん」
わたしのその行動にひなたの目が丸く見開かれた。佐藤くんはなにも言わずにわたしたちを見ている。
ひなたは唇を震わせながらなにかを言いかけ、そしてふと諦めたような笑みを浮かべた。
ポタポタとひなたの髪の先から水滴が落ちて、わたしたちの手を濡らす。
黙って見ている佐藤くんにはわたしの傘を差し出した。
佐藤くんは少しためらってから傘を受け取って、わたしと半分ずつ入るように傘をさした。
「なにがあったか教えて」
二人は地面を見つめて黙り込んでしまう。
「ちょっとだけ聞こえたけど、わたしのことで揉めてたんでしょ。ちゃんと二人の口から聞かせて」
「――うん。じゃあ、オレが話すよ」


