シュガーコート



 やっとひなたと先輩を祝福できると思ったのに。

 やっと佐藤くんのことが好きだと言えるのに。

 ひなたのことを嫌いになりたくないのに。

 黒い気持ちが胸の奥からわき上がる。喉が勝手にひどいことを叫び出しそうになる。

 わたしを蝕む毒だと分かっているのに、二人が重なる様子から目が離せない。

 そのとき、雲の切れ目から晴れ間が覗き、雨が一瞬だけ止む。

 邪魔くさかった雨粒のノイズがなくなったことで、わたしはあることに気がついた。

 佐藤くんの肩が(いか)っている。

 そして、少しだけ見えるひなたの手が、ギリギリと佐藤くんの胸ぐらを掴んでいた。

(――まさか)

 目を凝らして見ると、やはり二人は抱き合っているにしては不自然だった。

(ちがう、あれは抱き合っているんじゃなくて)

 角度を変えて見てわたしは仰天する。

 二人は互いの腕やらえりやらを強く掴みながら、至近距離で睨み合いをしていたのだ。

(と、と、取っ組み合ってる――ッ!?)