シュガーコート



(え――)

 佐藤くんの後ろ姿に重なるように、ひなたの姿が見えなくなる。

 傘をささない二人はそのまま、雨の中でじっと動かない。

(どうして、)

 わたしの心臓はいま止まってしまったかもしれない。

 なにも考えられない。考えたくない。

 佐藤くんはわたしのことが好きだと言ってくれた。

 わたしも遅くなったけれど佐藤くんのことが好きだと気づいて、そのことを伝えようとしていた。

 なのにいま、佐藤くんはひなたと抱き合っている。

 かくんと膝が抜けた。

 パシャリと水たまりに膝をついて二人の姿を見つめる。

 傘をさす手が震え、立ち上がる気力もなく、この場から逃げ出すことすらできない。

 キーンという耳鳴りが思考力を奪っていく。ジワジワと涙が視界を狭めるのが嫌で、ぎゅっと目をつぶるとポロポロと涙がこぼれた。

(嫌だ……)