「おお北田、気をつけて帰るんだぞ。ああそうだ、バレー部は次の試合……」
「先生っ雨ひどいからもう帰ります!! さようなら!」
「あ、ああ」
長話が始まりそうになるのをぶったぎってとにかく昇降口へと急ぐ。
わたしは傘立てに置きっぱなしになっていたひなたの青い傘と自分の傘を持って、ひなたの後を追いかけた。
(どこ行ったんだろう……!)
水たまりを踏んだ感覚の後に、つま先からじわりと冷たさが伝わる。
確か体育館の方角に向かっていたはずだが、辺りを見回しても激しい雨が視界を遮るだけだ。
方角だけを頼りに渡り廊下をこえて体育館裏に辿りついた。
ここは木々が生い茂っているおかげで雨の影響が他のところよりいくらかマシに見える。


