「佐藤謙信……あいつは人を見下してるんだ。家が金持ちだか名家だか知らないけど、昔からお高くとまって、オレたち同級生のことを馬鹿にしてた! 千花はあいつといても幸せになれない!」
「そんなこと……佐藤くんはしない! わたしは佐藤くんの努力を知ってる。周りが勝手に壁をつくってたんでしょ!」
「千花、騙されないで。オレが一番千花のことを好きだ。なんでもするから。オレとつき合って?」
藤井くんはすがるような目でわたしを見る。
そのときわたしは気づいた。
佐藤くんに言われた『好き』とのちがいを。
あの日、あのとき。
こころに深手を負ったわたしに気づいて声をかけてくれた。
そして突然告白することで、わたしの意識を無理矢理失恋から背けて、壊れそうになっていたわたしのこころを守ってくれた。
あの瞬間からもう佐藤くんはわたしの特別だったんだ。


