「千花のことを一番知ってるのはオレだから」
(どうして、わたし)
藤井くんの両手が、うつむいたままのわたしの肩に乗る。
(こんなの、佐藤くんに好きって言われたときと全然違う)
「だからさ、オレが佐藤から千花のことを守るよ。あいつは千花にふさわしくない」
「――は?」
なんの予兆もなく佐藤くんの名前を出されて、わたしは思わず顔を上げる。
藤井くんの顔は思ったよりも近いところにあった。わたしは眉を寄せて続く言葉を待つ。
「最近あいつと一緒にいるのをよく見るけどさ。千花は優しいから、付き纏われて困ってるのに言えないんだよな? 大丈夫。オレがちゃんと――」
「か、勝手なことしないで!」
肩に置かれた手を払いのけると、藤井くんは目を丸くして一歩下がる。その隙にわたしは立ち上がった。
「わたしは別に困ってなんかない。勝手に守るとかやめて」
「千花、ダメだ! 千花はあいつのことを誤解してるんだよ!」
藤井くんは焦ったようにわたしに詰め寄る。そのままジリジリと壁際に追い詰められてしまう。


