「でもあの人彼女ができたんだろ? 千花、泣いてたよな。わざわざその彼女が報告しに来て。栗本ひなただっけ。千花を泣かせるなんてほんと性格の悪い女だ。オレは分かってたよ。千花が辛くて悲しいのを必死にこらえているのを」
「なんで、そんなことまで」
見られていた?
ひなたがわたしに報告に来たあの瞬間も?
教室の外からわたしを見ていた?
ざわっと二の腕に鳥肌が立つ。わたしは自分を抱くように腕に手を回した。
(嫌だ……!!)
「日曜日の自主トレも、ずっとえらいなと思ってた。知ってた? オレも千花を見習って毎週あの公園で筋トレしてるんだ。千花はほんものの努力家だよ。その小さな積み重ねのひとつひとつが千花の力になってる。オレは千花のことを尊敬してるんだ」
「もうやめて」
ぐるぐる、ぐるぐる。ペンが回る。
ザアザアと激しい雨が窓を叩く。


