シュガーコート



 そのとき、窓の外でピカッと稲妻が走った。数秒後、空気を切り裂くような音が響く。

 わたしは黙って窓の外を見た。

 雷は、昔は怖かったけれどもう慣れた。ひとりのときに雷が落ちても、同じ思いをひなたもしていると思えば乗り越えられたのだ。

(ようやくひなたにこころからおめでとうを言える。今度時間をとってちゃんと言おう。わたしはもう大丈夫。それもこれもきっと、)

(全部佐藤くんのおかげ)

 突然、ガラッと教室の扉が開く音がして、わたしはそちらに視線をやる。

 重い雨の音しかしない空間に、声が響いた。

「やあ、千花」

 名前を呼ばれたわたしは首を傾げる。

 そこには知らない男子がいた。

 いや、どこかで見たことがある。

 ヒョロリと背が高く、おでこの見える短髪の男子。シャープな印象の目元とは対照的な、猫みたいな口。

 直接話をしたことはないけれど、部活中の体育館で見かける顔だった。