全校集会を終えてみんなでノロノロと教室に戻っていると、人の波の中から「北田」と呼び止められる。
振り返るとそこにはこちらに片手を上げる玉之江先輩の姿があった。
「玉之江先輩。どうしました?」
「今日は大雨洪水警報が出てるから、午後も部活なしだとさ。女バレの二年に伝えといてくれ」
「あ、はい。分かりました」
なんてことないただの業務連絡だ。雨はこれからさらにひどくなるらしい。先輩は「よろしくなー」とだけ言って三年の教室へと去っていった。
「亜矢ー、双葉ー。今日部活ないんだって。さっき玉之江先輩が――」
言われたとおり亜矢と双葉に部活がないことを伝えようとして、わたしはふと気づく。
(先輩と自然に話せた……。胸の痛みが、ない)


