シュガーコート



「もしかして、ラブレター?」

「あ、これ? ううん。朝来たらげた箱に入ってたんだけど、なんかダジャレが書いてあった。ただの悪ふざけだよ」

「ダジャレ?」

 ぐしゃっとさらに握りつぶしてしまったところを見ると、ほんとうにどうでもいいものだったらしい。

(まあ、もしラブレターならあんな紙ペラ一枚なわけないか)

「気になった?」

「え?」

 佐藤くんは妙にいたずらな目線をよこして言う。

「もしオレがラブレターもらってたらって。気になった?」

「な、べ、別に……そんなこと」

 ない。

 と言い切れないのが悔しい。

 むむっと唇を引き結ぶわたしに、佐藤くんは嬉しそうな笑顔を向ける。

 そして、わたしの耳元に口を寄せて囁いた。

「言い忘れてた。おはよう」

「〜〜〜ッ!! おはよっ!!」

 目の前には朝からわたしのこころを乱そうとする確信犯。

 わたしは熱くなる顔を隠したくて、シュバッと忍者のようにその場を去ることしかできなかった。