シュガーコート



「おはよー。最悪、髪濡れたわ」

「亜矢だ。おはよ」

 沈んだ表情の亜矢がこちらに寄ってくると、ひなたは「それじゃあ」と言って去って行った。

 まだ違和感があるひなたの態度にわたしは軽いため息をつく。

「ウチのあいさつはシカトかい」

「ひなたは人見知りなの。昔から少し気むずかしくて……ん?」

 そのとき、ふと視界に入ったのはひと足先にげた箱にいる佐藤くんの姿だった。

 ニヤニヤ顔の亜矢に肘で押されて声をかける。

「佐藤く、」
 
「わあっ!」

 後ろから話しかけると、佐藤くんは大げさに飛びあがった。その拍子で佐藤くんの手元からぐしゃりと紙が握りつぶされる音が鳴る。

 見ると佐藤くんの手の中では、一枚のコピー用紙が無惨にもシワシワになっていた。

「ちかちゃん! びっくりしたあ」

「うん、おはよう……? それ大丈夫?」

「じゃ、ウチ先行くわあ」

 そう言う亜矢に手で応えてから佐藤くんに向き直る。