「先輩のことは好きだったよ。佐藤くんには最近告白されて――」
「つき合ってるの? 好きなの? 先輩よりも?」
食い気味にひなたが問う。
わたしはいつもとちがうひなたの様子に驚いていた。
「まだ返事はしてない。でも、この前……わたしも手を繋いで。だからひなたが手を繋いだときのこと聞きたくなっちゃったの」
(もしかしたら聞かれたくなかったのかも。そりゃそうだよね。わたしだって恥ずかしいし)
ひなたの表情は傘で隠れて見えなくなってしまった。突然ざあっと重たい雨がわたしたちを襲う。
「変なこと聞いてごめんね」
学校に急ごう、と言いかけたそのときだった。
「なんで?」
「……ひなた?」
「どうしてそうなるの?」
刻々とひどくなる雨の音でひなたの声がかき消されていく。


