戸惑うようなひなたの表情に、自分でもちょっと気持ち悪い質問だったと反省する。ごほんと咳払いをするわたしにひなたは問いかけた。
「千花ちゃんなにかあった?」
「えっ。なにかって?」
「もっと聞きたいって顔してる」
ギクリと肩が跳ねた。本音を言うとものすごく聞きたい。他の人がどんな風に手を繋ぐまでにいたるのか知りたい。
そこまで考えて、わたしははたっと思考を止める。
(聞きたい? ひなたのノロケ話を? 先輩と手を繋いだ話を?)
(わたし――もしかしてもう、)
「千花ちゃん。もしかして……もう先輩のことはどうでもいいの?」
「ひなた」
「佐藤くんだっけ。ほんとうにあの人が本命だったの? 先輩のこと好きって言いながらあの人と陰でつき合ってたの?」
「そ、そうじゃないよ。ただ、その」
純粋に不思議がるような、そんなひなたの視線が突き刺さる。おかしな誤解を生むのは避けたい。


