最近、やたらと視線を感じる気がする。

 登下校時しか感じないけど、私はそう思っていた。

「なーにしけた顔してんの、彩華。」

「しけてないって。ていうか私、そんな顔してないし。」

「またまた~。どうせ悩み事でもあるんでしょ? ほら、あたしに言っちゃいなって。」

 高校でのお昼休憩、陽が差している机の近くでドンッと胸板を叩いた彼女。

 名を、辻本奈摘(つじもとなつみ)という。

 奈摘とはもう赤ちゃんの頃からの仲だから、遠慮なく物事を言える。

 でも毒舌だから、たまーに心に響く事もあるんだよねぇ……。

 ちなみに私は橘樹彩華(たちばないろは)。普通過ぎる平凡な高二女子。

 女子力の欠片もない、男気がある系だ。自分で言うのもなんだけど。

「んで、一体何があったというのかね~。ほれほれ~、この奈摘様に話してみなはれ~。」

「……奈摘に話して解決する気もしないんだけど。」

 しかも自分に様をつけるのと、喋り方が若干ムカつく。

 ……だけど、自分で考えてても結局解決しなかったんだよね。