今では敦さんの小説だけじゃなくて、色んな人の小説を読むようになった。敦さんと出会っていなかったら、私はきっと今も小説を読むことはなかったと思う。

恋愛映画は一言で説明すると、現代版ロミオとジュリエットだ。様々な壁を二人は乗り越えていき、最後には結ばれる。恋愛にはありきたりな結末かもしれない。でも二人の強い想いに感動して、涙が溢れてしまった。

「すごく素敵な映画だね。僕も恋愛小説を執筆してみたくなったよ」

隣に並んで座っていた敦さんが私の涙を拭い、微笑む。私は「ぜひ執筆したら、読ませてください!」と言った。

有名アーティストの主題歌が流れ、スタッフロールが流れていく。映画はとても素晴らしかった。思い出すだけで泣いてしまいそうになる。

「……あっ、もうこんな時間だね」

敦さんが時計を見て呟き、私も壁に掛けられた時計に目を向ける。もう十二時だ。時間が経つのが早い。

「お昼、作りますね」

「僕も手伝うよ」

敦さんがそう言ってくれたため、二人でエプロンをつけてキッチンに立つ。